1. レッドデータブックの見方

レッドデータブックの見方

  • ウスキタンポセミタケ
  • イリオモテクマゼミタケ(*)
  • 西表発生環境

レッドデータブックの構成

沖縄県版レッドデータブックは、動物編および菌類編・植物編の2分冊で構成されています。掲載種は、作成(改訂)に際して分類群別に設置された専門部会(分科会)の調査・検討にもとづき選定されたものであり、目録一覧(掲載種リスト)として、さらに詳細な内容がわかる解説を種別に作成しています。また、できるだけ多くの種の写真を掲載しています。

本県レッドデータブックの基本方針

本県レッドデータブックの基本方針は、以下に示す4点があります。継続性の観点から、現行版のレッドデータブックを作成の基本として、生息・生育状況の変化を反映し、種の選定やカテゴリーランクの見直しを図っていきます。

  1. 環境省版レッドデータブック等における概念を踏まえつつ、沖縄県の地域性、独自性にも配慮する。
  2. 環境省版レッドデータブック等にあげられていない沖縄県独自の種もリストアップする。
  3. 現在の文献・資料ではレッドデータブックに掲載してよいのか判断がつかない種および今後詳細な調査を要する種については、情報不足種としてリストアップする。
  4. 生息・生育状況に生じた変化や新たな研究等の知見に応じて、継続的に見直しを行う。

カテゴリー

選定された掲載種は、絶滅のおそれの程度を示すランク別カテゴリーに区分されて示されます。本県では、環境省に準じて8つのカテゴリーに区分しており、各カテゴリーの区分やそれぞれの判定基準となる定義(定性的要件・定量的要件)は別表に示したとおりとなります。絶滅や野生絶滅のほか、絶滅危惧が高い順序から絶滅危惧ⅠA類、同 ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧にランクが区分けされています。また、情報不足のほか、特定の地域に限定した危機の状況をあらわす場合、絶滅のおそれのある地域個体群として区分けしています。

カテゴリー区分表

カテゴリー区分 略号
絶滅 EX(Extinctの略号)
野生絶滅 EW(Extinct in the Wildの略号)
絶滅危惧I類
  • 絶滅危惧IA類
  • 絶滅危惧IB類
CR+EN
  • CR(Critically Endangeredの略号)
  • EN(Endangeredの略号)
絶滅危惧Ⅱ類 VU(Vulnerableの略号)
準絶滅危惧 NT(Near Threatenedの略号)
情報不足 DD(Data Deficientの略号)
絶滅のおそれのある地域個体群 LP(Threatened Local Populationの略号)

カテゴリー定義(定性的要件)

沖縄県のカテゴリー定義
区分および基本概念 定性的要件
絶滅
EX(Extinct)
沖縄県ではすでに絶滅したと考えられる種
  • ①過去に沖縄県に生育・生息したことが確認されており、飼育・栽培下を含め、沖縄県ではすでに絶滅したと考えられる種。
  • ②県内の在来個体群は絶滅しているが、県外から移入された個体群が生存している種。
野生絶滅
EW (Extinct in the Wild)
沖縄県では飼育・栽培下でのみ存続している種

過去に沖縄県に生育・生息したことが確認されており、飼育・栽培下では存続しているが、沖縄県において野生ではすでに絶滅したと考えられる種。

【確実な情報があるもの】
①信頼できる調査や記録により、すでに野生で絶滅したことが確認されている。
②信頼できる複数の調査によっても、生育・生息が確認できなかった。

【情報量が少ないもの】
③過去50年間前後の間に、信頼できる生育・生息の情報が得られていない。

絶滅危惧 THREATENED
絶滅危惧I類
(CR+EN)
沖縄県では絶滅の危機に瀕している種
沖縄県では現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。

絶滅危惧IA類
CR(Critically Endangered)
沖縄県では、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。

絶滅危惧IB類
EN(Endangered)
沖縄県ではIA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
次のいずれかに該当する種
【確実な情報があるもの】
  • ①既知のすべての個体群で、危機的水準にまで減少している。
  • ②既知のすべての生育地・生息地で、生育・生息条件が著しく悪化している。
  • ③既知のすべての個体群がその再生産能力を上回る捕獲・採取圧にさらされている。
  • ④ほとんどの分布域に交雑のおそれのある別種又は同種の別個体群が侵入している。
  • ⑤ほとんどの分布域において、生存を脅かすおそれのある競争種や天敵が侵入している。

【情報量が少ないもの】
⑥それほど遠くない過去(30~50年)の生育・生息記録以後確認情報がなく、その後信頼すべき調査が行われていないため、絶滅したかどうかの判断が困難なもの。

絶滅危惧Ⅱ類
VU(Vulnerable)
沖縄県では絶滅の危機が増大している種
沖縄県では、現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが考えられるもの。
次のいずれかに該当する種
【確実な情報があるもの】
  • ①大部分の個体群で個体数が大幅に減少している。
  • ②大部分の生育地・生息地で生育・生息条件が明らかに悪化しつつある。
  • ③大部分の個体群がその再生産能力を上回る捕獲・採取圧にさらされている。
  • ④分布域の相当部分に、交雑のおそれのある別種又は同種の別個体群が侵入している。
  • ⑤分布域の相当部分に、生存を脅かすおそれのある競争種や天敵が侵入している。
準絶滅危惧
準絶滅危惧
NT(Near Threatened)
沖縄県では存続基盤が脆弱な種
現時点での絶滅危険度は小さいが、生育・生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
次に該当する種
生育・生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるもの。具体的には、分布域の一部において、次のいずれかの傾向が顕著であり、今後更に進行するおそれがあるもの。
  • a)個体群が減少している。
  • b)生育・生息条件が悪化している。
  • c)過度の捕獲・採取圧による圧迫を受けている。
  • d)ほとんどの分布域に交雑のおそれのある別種又は同種の別個体群が侵入している。
  • e)ほとんどの分布域において、生存を脅かすおそれのある競争種や天敵が侵入している。
情報不足
情報不足
DD(Data Deficient)
沖縄県では評価するだけの情報が不足している種
環境条件の変化によって、容易に絶滅危惧のカテゴリーに移行し得る属性(具体的には次のいずれかの要素)を有しているが、生育・生息状況をはじめとして、ランクを判定するに足る情報が得られていない種
  • a)どの生育地・生息地においても生育・生息密度が低く希少である。
  • b)生育地・生息地が局限されている。
  • c)生物地理上、孤立した分布特性を有する(分布域がごく限られた固有種等)。
  • d)生活史の一部または全部で特殊な環境条件を必要としている。
絶滅のおそれのある地域個体群
絶滅のおそれのある地域個体群
LP(Threatened Local Population)
沖縄県で地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれの高いもの。
次のいずれかに該当する地域個体群
  • ①生育・生息状況、学術的価値等の観点から、レッドデータブック掲載種に準じて扱うべきと判断される種の地域個体群で、生育域・生息域が孤立しており、地域レベルで見た場合危険が増大していると判断されるもの。
  • ②地方型としての特徴を有し、生物地理学的観点から見て重要と判断される地域個体群で、絶滅に瀕しているか、その危険が増大していると判断されるもの。

注)種:動物では種および亜種、植物では種、亜種、変種を示す。

カテゴリー定義(定量的要件)

沖縄県のカテゴリー定義
区分および基本概念 定量的要件
絶滅
EX(Extinct)
沖縄県ではすでに絶滅したと考えられる種
野生絶滅
EW(Extinct in the Wild)
沖縄県では飼育・栽培下でのみ存続している種
絶滅危惧 THREATENED
絶滅危惧I類
(CR+EN)
沖縄県では絶滅の危機に瀕している種
沖縄県では現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。
絶滅危惧IA類
CR(Critically Endangered)
沖縄県では、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
A.次のいずれかの形で個体数の減少が見られる場合。
  1. 最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、80%以上の減少があったと推定される。
  2. 今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、80%以上の減少があると予測される。
B.出現範囲あるいは生育地・生息地面積、成熟個体数等に、最近極度の減少がみられるか、今後継続的な減少が予想され、かつ生育地・生息地が以下に限定される場合。
〇生育地・生息地が過度に分断されているか、ただ1ヶ所の地点(水系)に限定されている。

C.個体群の成熟個体数が250未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。
  1. 3年間もしくは1世代のどちらか長い期間に25%以上の継続的な減少が推定される。
  2. 成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.成熟個体数が50未満であると推定される場合。

E.数量解析により、10年間、もしくは3世代のどちらか長い期間における絶滅の可能性が50%以上と予測される場合。
絶滅危惧IB類
EN(Endangered)
沖縄県ではIA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
A.次のいずれかの形で個体数の減少が見られる場合。
  1. 最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、50%以上の減少があったと推定される。
  2. 今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、50%以上の減少があると予測される。
B.出現範囲あるいは生育地・生息地面積、成熟個体数等に、最近極度の減少がみられるか、今後継続的な減少が予想され、かつ生育地・生息地が以下に限定される場合。
〇生育地・生息地が過度に分断されているか、5ヶ所以下の地点(水系)に限定されている。

C.個体群の成熟個体数が2,500未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。
  1. 5年間もしくは2世代のどちらか長い期間に20%以上の継続的な減少が推定される。
  2. 成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.成熟個体数が250未満であると推定される場合。

E.数量解析により、20年間、もしくは5世代のどちらか長い期間における絶滅の可能性が20%以上と予測される場合。
絶滅危惧Ⅱ類
VU(Vulnerable)
沖縄県では絶滅の危機が増大している種
沖縄県では、現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが考えられるもの。
A.次のいずれかの形で個体数の減少が見られる場合。
  1. 最近10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、20%以上の減少があったと推定される。
  2. 今後10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、20%以上の減少があると予測される。
B.出現範囲あるいは生育地・生息地面積、成熟個体数等に、最近極度の減少がみられるか、今後継続的な減少が予想され、かつ生育地・生息地が以下に限定される場合。
〇生育地・生息地が過度に分断されているか、10ヶ所以下の地点(水系)に限定されている。

C.個体群の成熟個体数が10,000未満であると推定され、さらに次のいずれかの条件が加わる場合。
  1. 10年間もしくは3世代のどちらか長い期間に10%以上の継続的な減少が推定される。
  2. 成熟個体数の継続的な減少が観察、もしくは推定・予測され、かつ個体群が構造的に過度の分断を受けるか全ての個体が1つの亜個体群に含まれる状況にある。
D.成熟個体数が1,000未満であると推定される場合。

E.数量解析により、100年間における絶滅の可能性が10%以上と予測される場合。
準絶滅危惧
準絶滅危惧
NT(Near Threatened)
沖縄県では存続基盤が脆弱な種
現時点での絶滅危険度は小さいが、生育・生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。
情報不足
情報不足
DD(Data Deficient)
沖縄県では評価するだけの情報が不足している種
絶滅のおそれのある地域個体群
絶滅のおそれのある地域個体群
LP(Threatened Local Population)
沖縄県で地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれの高いもの

注)種:動物では種および亜種、植物では種、亜種、変種を示す。

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