トピック(爬虫類・両生類)

身近な存在のキノボリトカゲのなかま

身近な存在のキノボリトカゲのなかま

沖縄県内にはキノボリトカゲのなかまが広く生息しています。それぞれの地域で独自に進化して、以下の3つの亜種(あしゅ)が知られています。
オキナワキノボリトカゲ (絶滅危惧Ⅱ類) 県内では沖縄諸島(沖縄島、伊平屋島、渡嘉敷島、渡名喜島、久米島など)
サキシマキノボリトカゲ (準絶滅危惧)  宮古諸島(宮古島、伊良部島など)、八重山諸島(与那国島を除く)
ヨナグニキノボリトカゲ (準絶滅危惧)  与那国島のみ

名前のとおり木の上に登る爬虫類で、体長が20から30cmと中型のために存在感があります。木の幹につかまっているところを見ることが多く、民家に近い林や林縁にもよく現れるために身近な存在でもあります。
こうしたキノボリトカゲ類が絶滅のおそれのある種に選定されています。いまのところ多いのではと思う方も多いと思います。レッドデータブックでは、過去のある時点と比較しての減少割合や減少の程度から絶滅のおそれを判定しています(レッドデータブックの見方を参照)。
これらのキノボリトカゲ類について、レッドデータブックでは以下を減少要因として示しています。

  • 開発によりすみかとなる林が減少(/孤立化)している
  • ペットや販売を目的として捕獲される
  • 外部から持ち込まれた外来種による捕食

※ニホンイタチやマングース、インドクジャクによる捕食被害が確認または懸念されています。

身近な存在の動物であるため、減少要因は人の暮らしにも関連した事柄がおおく、現在おこっている環境問題の縮図といえます。

沖縄の山のカエルが減っています!

沖縄の山のカエルが減っています!

山が発達した5つの島々(沖縄島、渡嘉敷島、久米島、石垣島、西表島)には、合計で7種類の山地性または渓流性と呼ばれるカエル類がすんでいます。いずれも世界で沖縄県内にしかすんでいない貴重な固有種(こゆうしゅ)ですが、そのすべてが絶滅のおそれのある種に選定され、注意が必要です。

このうち、沖縄島にはもっとも多い5種類がすんでいます。模様の美しさで知られるオキナワイシカワガエル(写真)は、1970年代までは名護市内の渓流でもみられましたが、1993年を最後に名護市では確認されていません。同じく本部町でも1993年以降には見つかっていません。現在、このカエルは塩屋湾以北の北部3村(国頭村、大宜味村、東村)の山にかぎってその姿を見ることができます。

このほかの山地性カエルであるハナサキガエル、ホルストガエル、ナミエガエル、リュウキュウアカガエルも、北部3村以外では見られなくなったり、または見つけることが難しくなっています。山地性カエル類は一生をとおして渓流沿いにすみ、そのなかでも繁殖場所は源流など狭い範囲に限られることから、環境や水質の変化にも敏感といわれています。そのため、種の存続には水系全体の環境保全が必要と考えられているのです。一部の地域では外来生物の影響も指摘されています。

(「身近な存在のキノボリトカゲのなかま」および「沖縄の山のカエルが減っています!」は、レッドデータおきなわ第3版(動物編)の対象となる種の解説文章をもとに、沖縄県が再構成しました。)

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